首里城火災から半年に伴うインタビューについて(2020年4月28日)

  1. 首里城火災から半年に伴うインタビューについて(2020年4月28日)

沖縄タイムス2020年4月30日(木)2面掲載

この半年間の県の対応をお聞かせください。

首里城正殿等が焼失するのを目の当たりにして、大変な衝撃を受け、如何ともし難い喪失感に襲われたことを鮮明に覚えております。しかしながら、その直後から、県民はもとより国内外の多くの皆様から寄せられたお見舞いの言葉、ご支援は、一日も早い首里城の復旧・復興に向けた大きな励みとなり、力となっております。まずは、多くの皆様に心より感謝申し上げたいと思います。

この半年間、国、県におきましては、首里城復旧・復興に向け、それぞれの役割分担を踏まえ、様々な取組を進めてきたところです。

国においては、3 月27 日に「首里城正殿等の復元に向けた工程表」を決定し、正殿については、令和8年までに復元を目指すことが示され、首里城復元に向け大きな前進になるものと考えております。

一方、県としましては、国、那覇市など関係機関と連携のもと、焼失した建造物はもとより、首里城に象徴される琉球の歴史、文化を再認識し、文化財等の復元、収集、伝統技術の活用及び継承などに取り組むため、4月24 日に「首里城復興基本方針」を公表したところです。今後は、「基本方針」を実現する具体的な施策や工程表を盛り込んだ「基本計画」の策定に取り組んでまいります。

また、首里城火災の事実確認、原因究明、再発防止策を検討するため、県の「首里城火災に係る再発防止検討委員会」を設置したところであり、同委員会の議論を踏まえ、令和2年度末に「首里城火災に係る再発防止策」を策定する予定です。

なお、今後は、年間を通して多くの方々が訪れていただけるよう、延期している首里城正殿遺構の公開、首里城の破損瓦を活用した漆喰シーサーの製作体験等の行事を、国や美ら島財団とも連携のうえ、積極的に取り組んで行きたいと考えております。

再建に向けた考え方、課題をお聞かせください。

県としましては、国、那覇市など関係機関と連携のもと、焼失した建造物はもとより、首里城に象徴される琉球の歴史、文化を再認識し、文化財等の復元、収集、伝統技術の活用及び継承などに取り組むため、4月24 日に「首里城復興基本方針」を公表したところです。

「首里城復興基本方針」の中でも挙げていますが、首里城火災の再発防止策、伝統技術の活用、継承するための技術者の確保・育成、首里城周辺の交通渋滞、県民の皆様の継続的に復興に参画できる仕組みづくりなど課題は多岐に渡っております。

また、「首里城復興基本方針に関する有識者懇談会」の委員の方々から「首里杜構想」を更にブラッシュアップした「新・首里杜構想」によるまちづくりなど、より幅広い側面から「基本計画」の策定に取り組んでいただくよう提言をいただいているところです。

そのため、今後は、「基本計画」の策定に取り組んでいく過程において、その課題に向け、沖縄県として具体的にどのような施策を行えるのか県庁関係部局だけでなく、国、那覇市や地域住民等の各主体や有識者などの意見も踏まえ検討を進めてまいります。

再建までの間、「見せる再建」を含め、県の考え、取り組みをお聞かせください。

首里城は県民の心の拠り所であるととともに、多くの来訪者を魅了してきたこともあり、その復元について、県民はもとより多くの方々が高い関心をお持ちだと理解しております。

そのため、首里城復興に多くの方々が参画できるような仕組みづくりを進めていくとともに、復元過程を通して、首里城の文化、教育的な価値を再認識し、琉球文化の復興につなげていくことも大切であると考えております。

具体的には、延期している首里城正殿遺構の公開、仮設見学通路の設置などによる段階的に復元過程を公開するための取組、首里城の破損瓦を活用した漆喰シーサーの製作体験など年間を通して多くの方々に訪れていただけるようなイベント等を国や美ら島財団、その他関係者とも連携のうえ、積極的に取り組んでまいります。

2026 年度までに正殿を再建する方針を含め、半年間の国の取組の評価を聞かせてください。

国においては、被災直後に国営公園事業として責任をもって首里城復元に取り組んでいただくことを公表していただくとともに、昨年12 月には「首里城復元に向けた基本的な考え方」を策定し、沖縄総合事務局に技術検討委員会を設置し、県内の有識者や県も参画のうえ、首里城復元に向けた工程表の議論を進めていただき心強く感じたところです。

その後、3月27 日に「首里城正殿等の復元に向けた工程表」を決定し、令和8年までに正殿の復元を目指すとこととしており、一日も早い首里城の復元を願う多くの方々の励みになると思っております。

県としては、引き続き、国と相互に連携し合い、主体的に首里城の復旧・復興に取り組んでまいります。

改めて首里城の所有権に関する県の考え方をお聞かせください。

多くの皆様の思いは、沖縄文化の象徴である首里城正殿等の一日も早い復元だと理解しております。

また、国においては、3月27 日に「首里城正殿等の復元に向けた工程表」を決定し、令和8年までに正殿の復元を目指すとこととしており、一日も早い首里城の復元を願う多くの皆様の励みになると思っております。

そのため、県としては、国と連携のうえ、一日でも早い首里城正殿等の復元に取り組むとともに、所有権の有無に拘わらず首里城に象徴される琉球の歴史・文化の復興に向けて積極的な取組を進めていくことが重要であると考えております。

国内外から集まった寄附についての見解、寄附金の使い方を改めて教えてください。

4月23 日現在、国内外より約18 億円の寄附金が県に寄せられており、寄附していただいた皆様には大変感謝申し上げます。

また、那覇市にも多くの寄附が寄せられており、その使途については、一日も早い首里城正殿等の復元を願いご寄附いただいた皆様の想いに応えることが第一だと考えております。

県としては、那覇市とも協議のうえ、城郭内の正殿を始めとした施設等の復元に充当出来るよう国など関係機関と調整を行っていくことを確認しているところであり、その使途につきましては、しっかりと情報を発信し、理解を得ていきたいと考えております。