首里城正殿に用いる県産木材調達の取組について

  1. 首里城正殿に用いる県産木材調達の取組について

最終更新日:2022.02.14

 令和4年1月31日、沖縄県知事を本部長とする「沖縄県首里城復旧・復興推進本部会議」が開催され、県が寄付金を活用して調達する正殿の小屋丸太梁材については、県産材のオキナワウラジロガシを6本用いることとしていましたが、象徴的な部位で必要最小限となる御差床両端の2本(赤枠)と予備材1本の計3本へと変更することを決定いたしました。
 なお、残りの小屋丸太梁4本(青塗)は、国産ヒノキへ樹種を変更するよう今後国と協議してまいります。


 

Ⅰ.国頭村での県産材調達における地元調整状況

 ①国頭村の地元とのオキナワウラジロガシ調達に係る調整の概要

  〇令和2年3月25日:国頭村議会から首里城復元への県産材活用の意見書を頂く。

  〇令和3年3月29日:国頭村から樹木提供の同意を得る。

  〇令和3年10月19日:地元の区代表へ説明し、役員会などで確認してもらうなどで、後日、了解を得る。

  〇令和3年12月3日:自然公園法に基づく伐採許可申請、森林法に基づく伐採届を提出。

  〇令和4年1月6日:自然公園法に基づく伐採許可を頂く。(伐採届は30日より前の届出)

Ⅱ.石垣市での県産材調達における地元調整状況

 ①石垣市の地元とのオキナワウラジロガシ調達に係る調整の概要

  〇令和3年4月16日:石垣市から樹木提供の同意を得る。

  〇令和3年9月9日:地元区代表3名とWEB会議を開催し、調達概要や経緯を説明。

  〇令和3年9月13日:地元区から以下2点の趣旨の陳情書を頂く

(1)事業開始前の地元説明会の開催
→下記のとおり開催

(2)石垣島内他地域での現地調査の実施
→島内他地域の現地調査を9月下旬実施
林道沿いで立木約130本確認できたが規格に合わない

  〇令和3年10月8日:(緊急事態宣言解除後)地元説明会を公民館で開催
地元住民16名を含む約30名の参加者。

【伐採に対する主な意見】
(1)地域と琉球王国との歴史的な背景について配慮してほしい
(2)後継木の苗木が準備できるまで事業を開始しないこと
→令和2年度は凶作、令和3年度はドングリ収集等準備中【R3.12 約100個確保】
(3)すでに伐採の現場作業しているのではないか、位置等を情報開示してほしい
→当該作業箇所は市の造林事業であり、県は伐採の現場作業には未着手
→情報公開の開示対象とすると非特定多数へも公開対応となり、候補木含む周辺環境対策が困難なため、非公開としている
(4)集成材の使用や非木造にすべき
→往時の使用材料を用いて復元する方針であり、防火対策は検討状況を公表している 

  〇令和3年12月22日:地元区から以下2点の趣旨の陳情書(その2)を頂く

(1)苗木ができるまで事業を進めないでほしい

(2)イノシシによる食害対策とその補償をしてほしい 

  〇令和4年1月18日:地元区代表3名とWEB会議を開催し、陳情書(その2)への以下の県の考え方を説明。

(1)後継木の苗木の準備に1年~1年半程度かかり、豊凶もあるため、復元スケジュールを考慮すると伐採前には苗木は準備できない。

(2)5本の伐採とイノシシの食害との因果関係が不明なため、伐採に伴う補償はできない。(イノシシ等の行政による鳥獣被害対策は9/9に説明済)

地元区の総意として、伐採前に陳情した事項へ対応できないのであれば、承諾できないとの回答を確認

  〇令和4年1月31日:県の令和3年度第3回 首里城復旧・復興推進本部会議で、石垣市からの調達を行わない旨を決定(公表)。

 ②候補木選定の経緯(令和2年度の取組)

法令に基づく伐採規制(自然公園法での特別保護地区、第1種特別地域の指定等)がある地域は調査対象から除外し、林道近くの立木が調査対象

〇国頭村内の現地調査では、規格に合う必要な本数を確認できなかったが、石垣市内在住の方から、国の技術検討委員会の委員へ情報提供があった。

〇令和2年9月に石垣市内在住の方の案内で、現地調査(屋良部林道)を実施

〇現地調査後、詳細調査として環境調査などを実施し、関係機関と調整に入った。

 ③石垣島内の他地域での現地調査(崎枝区の要望より)

〇令和3年9月に石垣市内在住の方の案内で、現地調査(石垣島内林道等4か所)を実施

〇法令に基づく伐採規制がある地域は対象から除外し、林道等近くの立木が調査対象
於茂登岳付近は、特別保護地区、第1種特別地域などの指定があり除外
約130本の当該樹種の立木を確認できたが、首里城正殿の建築材としての規格に合う立木は確認できなかった

≪首里城正殿小屋丸太梁材の主な規格≫
・直径約47㎝、長さ7mの材が取れる
・通直でうろ(空洞)や腐朽が確認されない

    

 ④候補木の調査個所について

なぜ林道沿いのみで調査するのか?
林道とは、森林法5条に基づき、森林の保続培養と森林生産力の増進を図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的に、整備されている施設です。今回は、新たな施設整備を要しないですむ範囲で調査をしています。

市の森林整備計画での位置づけは?
→市の森林総面積8,963haのうち人工林面積1,209haで、屋良部林道沿いは、木材を安定的かつ効率的に供給する森林に位置づけられ、資源の保続に配慮して森林整備が行われた区域内にも多数の当該樹種の立木が確認され、候補木もありました。

Ⅲ.後継木の苗木育成の取組について

〇沖縄県では、持続可能な循環型林業の取組みの一環として、首里城正殿に活用する県産材であるオキナワウラジロガシについて、後継木の苗木育成に向けて取り組んでまいります。

(参考資料)
オキナワウラジロガシについて
首里城における建物の復元タイプ【首里城での復元年代と林政八書】
首里城復元過程の公開「見せる復興」での各関連地域との連携
《参考》県産木材の自給率と森林の循環利用
《参考》県産木材の活用状況
《参考》やんばる型森林業の推進施策方針について