今般の火災では正殿において展示・研究のために露出していた部分の遺構2か所が被災し、また収蔵品の多くも被災した。焼失又は被災した貴重な文化財等の復元や修復及び国内外へ散逸した文化財等の収集を行い、次世代へ継承するため、下記の取組を進める。
政府が発表した「首里城復元に向けた基本的な方針」においては、首里城跡の世界遺産登録に悪影響が及ばないよう、引き続きユネスコと緊密に連携しながら進めることが明記された。
県としても国と連携して遺構の劣化状況を的確に把握し、その価値が悠久に評価されるよう適切な保護を行い公開に取り組む。また、首里城跡や周辺文化財の発掘調査に関する成果の現地説明会を実施し、出土品の展示を行うなど、埋蔵文化財に関する情報発信にも積極的に取り組む。
今般の火災では美ら島財団が所有していた収蔵品393点が焼失したものと思われ、焼失を免れた漆器類等も、熱や消火活動による水の影響で薄紙の付着、塗膜の劣化が見られ、一部熱で木型が変形している物もあり、修復にかかる費用や時間の目処は立っていない。
今回被災した文化財等は琉球の歴史、文化を知る上で重要な役割を果たしており、所有者との役割分担を明確にした上で、修復及び正殿等建物の復元にあわせた展示品等の復元についても積極的に支援する。
また、先の戦災等で散逸した琉球王国関係資料に関する研究を行うとともに、国内外に所在する王国時代の資料収集に引き続き取り組む。
被災により劣化した漆器類
(画像提供:(一財)沖縄美ら島財団)
焼失した収蔵品の例(扁額)
(画像提供:(一財)沖縄美ら島財団)