基本施策4:文化財等の保全、復元、収集

  1. 基本施策4:文化財等の保全、復元、収集

基本施策の目的

 周辺文化財を含めた首里城跡の発掘調査等学術的な研究成果等の整理を行い、研究者のみならず一般にも分かりやすく工夫を凝らして公開し、情報発信をすることでその歴史的価値を周知する。
 焼失又は被災した貴重な文化財等の計画的な復元・修復を支援するとともに、国内外に所在する文化財等の調査・収集を行い、次世代へ継承できる環境を整備する。

目指す姿

  1. 首里城跡や首里城周辺の文化財の歴史的価値が評価されるとともに、保全に必要な措置が適切に実施されている。
  2. 今般の火災で焼失・被災した文化財等美術工芸品の修復及び復元が計画的に取り組まれるとともに、県内を拠点として文化財等の保存・修復が推進されている。
  3. 文化財等美術工芸品の研究体制が充実・強化されるとともに、国内外に現存する美術工芸品等の展覧会等が沖縄や各地で活発に実施され、先人の遺した伝統的な技術又は技法を県内の職人が直接学ぶ機会につなげ、必要な修復等も沖縄で実施されている。さらに、これらの美術工芸品等やそれにかかる情報収集が積極的に取り組まれ、伝統的な技術又は技法が継承されている。

主な課題

  1. 首里城周辺の文化財の情報整理
  2. 焼失した文化財等の現状把握
  3. 正殿等の復元に合わせた文化財等の復元、修理
  4. 文化財等の保存・修復拠点化に向けた環境整備
  5. 所在する文化財等調査の一元的体制の確立、情報整理、研究及び公開

達成への道筋

  1. 首里城及び周辺の埋蔵文化財に関する調査研究成果を体系的に整理し、一体的に評価するとともに、一般にもわかりやすいよう説明に工夫を凝らし、積極的に周知していくことで、首里城に象徴される歴史・文化等を次世代に継承していく環境を整備する。
  2. 焼失・被災した文化財等の現状把握、修復等に関する課題を関係者間で共有し、正殿等の復元に向けた工程表を踏まえつつ、文化財等の計画的な修復・復元に向けて必要な指導・助言を行うとともに、県内において文化財等の保存修復が可能となる環境の整備に取り組む。
  3. 在外沖縄関連文化財等調査成果や引き続き行う所在調査結果を活用し、技術の次世代への継承につなげていく。
  4. 県立芸術大学等と連携して取り組むことで、学術的知見の充実及び必要な人材の育成等につなげていく。

施策の方向性

(1)首里城跡の適正な保全と価値の周知

  1. 正殿遺構の適切な保護及び公開
     世界遺産である首里城正殿遺構については、国営沖縄記念公園事務所と連携して、損傷の状態を的確に把握し、文化庁と連携しながらその保護対策や公開についての指導、助言を行う。
     
  2. 周辺文化財の情報発信
     首里城及び周辺の文化財について、これまでの発掘調査の成果を公開するとともに、現地説明会や出土品の企画展示、講演会等を開催する。また、公開にあたっては多言語化を含めAR・VR等最新デジタル技術を活用し分かりやすさに工夫を凝らすとともに、世界に向けて情報発信等に取り組む。

(2)文化財等の復元、修復及び収集

  1. 被災した文化財等の修復、復元に対する支援
     (一財)沖縄美ら島財団が実施する被災した文化財等の計画的な修復等に向け、文化庁や専門機関との連携のもと助言・協力を行う。また、被災文化財等の保存・修復環境確保、所蔵する資料の熟覧など、必要な協力に取り組む。
     また、国内外に所在する沖縄関連文化財等の修復環境の将来的な整備を見据えた庁内体制、関係機関及び団体等との協力体制の構築に向けた条件を整備していく。
     
  2. 琉球王国時代の文化財等の調査研究、資料収集
     国内外に所在する琉球王国時代の文化財等について、これまでの調査結果に加え、引き続き所在調査を進め、その情報を整理・研究し最新デジタル技術を活用して広く公開していく。また、これら文化財等の研究報告会、展覧会等の実施や県内において修復等を行うなど、貴重な文化遺産を守り、次世代に継承する取り組みを進める。

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